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人間社会(と猫)



薔薇一本の男

16日連続更新中!
(1日中ゴロゴロしてたら夜9時になった。)

たしか2〜3日前だったと思う。
地下鉄の中で薔薇一本をにぎりしめる男性をみかけた。

「え、薔薇一本?ロマンチックな人だな。」

これからデートなのだろうか。
彼女と待ち合わせして
その薔薇を渡すのだろうか。

女は何十本の薔薇より
たった一本の薔薇に弱い。
「女」と総称しちゃいけないか。
あらためて。
私は薔薇一本に弱い。

特別な記念日なんかじゃなくて
何でもない日に、薔薇一本が一番効く。

どうしてかと聞かれても
うまく説明できないけど
キュンとするのだ。

それは私がまだ20代前半の頃の思い出。
当時はお金を貯めたくて
昼の仕事をして夜もバイトしてた。

昼の仕事先の先輩は
私が夜にバイトしてるのを知っていた。

「集中力が切れてる。夜のバイトなんかしてるからよ。」
そう言われごもっともなんだけど
まだ夢を追い求めてるころだったから
とにかく悔しくて落ち込んだ。
若いとはいえ毎日15時間働いて体も辛かった。

昼の仕事が終わってバイト先の最寄り駅に着いた。
先輩に言われた一言をやり過ごす精神力もまだなくて
トボトボと下を向いて歩き始めた。

ふと顔を上げると当時付き合ってた彼がいた。
私を驚かせようとその駅で待ちぶせしていた。
もちろん彼は私が先輩に小言を言われたことは知らない。

手には薔薇一本を持っていた。

とびっきりの笑顔と薔薇一本。
その組み合わせに心底救われた。

私の夢はそれから数年後、いやもっとか、
ようやく実現して今はこうしてNYにたどり着いた。

地下鉄の中で薔薇一本をにぎりしめる男性は
なんとなく昔の彼の面影に似ていて
「夢は実現できたよ。」と心の中で報告した。

幸せな家庭を築いているだろうか。
いまでも奥さんへ薔薇一本を送るような人だろうか。
いや、きっとそうだろう。
そういう優しい人だったから。
by chipsalsa | 2010-01-24 11:47 | アメリカ生活のもろもろ
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ども、チプサル母です。人間社会をまったり綴ってます。猫のチップとサルサ(チプサル)とチプサル父(相方=アジア系米人)とNY州Brooklyn在住。

by chipsalsa
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